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http://hdl.handle.net/11133/2310
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タイトル: | RC 建築構造体における振動伝搬性状にモーダル解析を適用した実験的研究-模型実験による構造部材追加の検討とその検証- |
その他のタイトル: | RC ケンチク コウゾウタイ ニオケル シンドウ デンパン セイジョウ ニ モーダル カイセキ オ テキヨウ シタ ジッケンテキ ケンキュウ モケイ ジッケン ニヨル コウゾウ ブザイ ツイカ ノ ケントウ ト ソノ ケンショウ |
著者: | 佐野, 泰之 SANO, Yasuyuki |
発行日: | 2008年10月23日 |
出版者: | 愛知工業大学 |
抄録: | RC 建築構造体内における振動問題の大半は、床などの部材が共振することにより生じている。共振問題に対しては、実験的モーダル解析の利用により検討する方法と、有限要素法(以下FEM とする)により検討する方法があげられる。本論文では、実験的モーダル解析を適用し、RC 建築構造体内の振動伝搬性状について検討を行うものとする。振動伝搬性状のメカニズムを解明するためには、実構造体での振動測定の結果について検討することが最も望ましいものと考えられる。しかし、柱, 梁, 壁面などの構造部材追加により振動伝搬性状を検討するためには、実構造体で実験を行うことは膨大な労力と費用が必要となる。本論文では模型実験により、構造部材追加による検討を行っている。模型実験による検討は、その結果を検証する必要があり、本論文では、模型と実構造体との実験結果の比較や、FEM による解析結果との比較などにより検証している。1 章「序論」では、環境振動の現状を概観すると共に、建築構造体内の振動伝搬性状に関する既往の研究をプレビューしている。2 章「実構造体実験」では、実構造体に対して実験的モーダル解析を適用するための検討を行っている。実構造体に対する加振実験は、構造体を起振する加振力が限られていることから、まず加振点を選定する必要がある。加振点の位置は、梁が主に振動伝搬に関係すると考え、梁上を採用する場合と、振動しやすい床版が主に関係すると考え、非梁上を採用する場合があげられる。これらの位置において、実際に加振実験を行い、加振点として望ましい位置を検討している。また、実験装置や解析方法についても検討し、モーダル解析により、振動伝搬性状を把握することが可能であることを示している。さらに、モーダル解析により得られた結果について検討し、モードシェイプと振動伝搬の関係など、種々考察している。3 章「実構造体実験と模型実験の対応」では、アクリル材により1=50 縮尺の模型を作製し、実験的モーダル解析を行い、模型と実構造体との対応について検討している。その結果、模型実験により、実構造体の振動伝搬性状を再現することが可能であることを示している。また、理論上、固有振動数に対する相似比は約30 倍となり、FRF(周波数応答関数(Accelerance:加速度/力))については、2:5 105 倍程度となることを示し、実験結果も同様であることを確認している。アクリル模型の実験では、重力と減衰による相似比については相似則を緩和することになる。重力については、構造体内の振動伝搬に関係しないこと、減衰については、実験結果を補正することが可能であることを示している。また、基礎地盤構造についても簡略化を行っているため、その影響についても考察している。4 章「プロトタイプ模型による構造部材追加と振動伝搬性状」では、実構造体の構造を単純化した1/50 縮尺の模型(以下プロトタイプ模型とする)を作製している。プロトタイプ模型は完成型が4 層3 スパンの模型であり、その作製の過程において実験が行われ、梁や壁面などの構造部材追加の影響を把握できるようにしている。構造部材追加による振動低減量を定量的に明らかにした結果、壁面追加による効果が最も大きいことなどを示している。また、構造部材追加による振動低減量は加振点(加振室)と受振点の位置関係により異なり、加振室(加振点を含む床面)ではあまり認められず、加振室から離れるほど大きくなる傾向が認められている。これは、振動低減量が評価する位置により異なることを示しており、振動低減量を定量的に把握する上で、評価方法を統一する必要があることを示すものである。構造部材追加による振動低減を考察すると、振動低減量は、モードシェイプと構造部材を追加する位置とに関係があり、振動の節の位置に構造部材を追加してもあまり低減しない傾向が認められている。感度解析の結果、質量付加による対策については、モードの腹となる場所に、剛性付加(バネ付加)については、モードシェイプの傾きが大きくなる場所に対しての効果が大きくなっている。また、振動を低減させたい位置の近傍を対策するよりも、モードシェイプに着目した対策が有効である結果も得られている。このように振動モードが振動伝搬性状に関わることが明らかになっている。この他にも、構造部材追加によるモードシェイプの変化と、固有振動数、減衰比などについての関係を明らかにし、振動伝搬性状について考察している。5 章「FEM による構造変更と振動性状の検証」では、まずFEM の解析モデルについて考察している。次に、模型実験の結果を検証するために、FEM による解析結果と模型実験の結果を比較している。その結果、構造部材追加による振動低減などの傾向については、両者同様となることが確認できている。しかしながら、FEM と模型実験で異なる点も認められている。この原因については、FEM 解析では材質が均質である理想条件による計算結果であるのに対し、模型実験では、材厚や物性値が必ずしも均一ではないことなどがあげられる。このように、FEM を適用する際に生じる差の原因についても考察している。最後の6 章「結論」では、本論文を総括し、建築構造体内の振動伝搬性状についての考察や、研究課題、今後の展望について述べている。 |
URI: | http://hdl.handle.net/11133/2310 |
出現コレクション: | 2008年度
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